伊藤博之事務所の業務備忘録

業務に関連した専門情報に特化しています。主に登記の書式、先例、通達等。

内容はあくまで個人的な備忘録ですので、内容・言葉(文字)の正誤等において不正確・不鮮明な場合があります。 参考にする場合は自己責任でお願いします。 (出典等についてチェックしないまま記載している場合あり)

役員全員の解任を内容とする登記申請があった場合の取扱いについて

役員全員の解任を内容とする登記申請があった場合の取扱いについて

(平成15年5月6日民商第1405号)

登記研究668号47ページ

 

会社・法人について、役員全員の解任を内容とする登記申請があった場合には、下記のとおり取り扱う。

登記申請の会社等と無関係の者が当該会社を乗っ取るために議事録等をねっ造してした虚偽の申請であるとして、紛争が生じる事案が発生しているため。

 

1.会社又は法人の役員全員の解任を内容とする変更登記の申請があった場合には、速やかに、当該会社又は法人に適宜の方法で連絡する。

(書面により連絡する場合には別紙様式)

 

2.解任されたとされる役員のうちのいずれかが申請書又は添付書類の閲覧を求めた場合には、届出印又は運転免許証の提示等の適宜の方法により、登記簿上の役員本人又はその代理人であることを確認した上、閲覧に応じて差し支えない。仮処分申請のため必要である等の事情が認められる場合には、適宜、申請書等の写しを交付することも差し支えない。

 

3.登記完了前に、解任されたとされる代表者から、当該申請に係る申請人が代表者の地位にないことを仮に定める内容の仮処分決定書等が提出された場合には、当該決定書等を本件登記申請の審査の資料とすることができる。

 

4.登記完了後に、解任されたとされる代表者から申請書にその者が代表者の地位にあること及び登記に係る代表者は代表者の地位にないことを仮に定める内容の仮処分決定書等を添付して(商業登記法(昭和38年法律第125号)第109条第2項、第107条第2項本文参照)、同法第109条第1項第2号の規定による当該登記の抹消の申請がされた場合には、他に却下事由がない限り、当該登記の抹消の登記をすることができる。

なお、取締役等の職務執行停止及び代行者選任の仮処分命令があった場合には、その旨の登記は、裁判所の嘱託によってすることとなる(民事保全法第56条)。

 

別紙
平成○○年○○月○○日
本店
商号
資格
氏名(解任された代表者) 様
○○(地方)法務局法人登記部門
役員全員の解任を内容とする登記の申請について(お知らせ)

今般、貴社(法人)について、下記のとおり役員全員の解任を内容とする登記の申請がありましたので、お知らせします。
なお、本お知らせに関するお問い合わせは、次の照会先までお願いします。
照会先 ○○市○○町○丁目○番○号
○○(地方)法務局法人登記部門
担当者 ○  ○
電話 ○○○-○○○-○○○


1 商号
2 本店
3 受付の年月日
4 新役員の資格、氏名及び住所(代表者一人のみ記載)

 

1の場合、法務局では登記申請のあった会社に通知してから

1週間程度保留期間(異議申立て等)を設ける。

 

よって、登記完了まで時間がかかることに注意!

登記申請の代理人が異なる場合の規則67条の規定の適用方法

電子申請における不動産登記規則第67条に規定される登記識別

情報の提供の省略の可否について

 

いわゆる連件申請によらない方法により、同一の不動産について

二以上の権利に関する登記の申請が電子申請によりされた場合

(同日付けで法務局に受け付けられたものに限る。)に、

下記のような内容の申請情報の提供がされたときは、

後件につき不動産登記規則第67条の規定を適用して、

登記識別情報が提供されたものとみなして差し支えない。

 

         記

(事例)

 ① 平成20年6月10日申請

   甲から乙への所有権の移転の登記(代理人A)

 ② 平成20年6月10日申請

   乙を登記義務者とする抵当権の設定の登記(代理人B)

(申請情報の内容)

(1)事例①の申請情報の内容

   本件の所有権の移転の登記と、6月10日付で後に申請される

   抵当権の設定の登記(代理人B)とは連件扱いとされたい。

(2)事例②の申請情報の内容

   本件の抵当権の設定の登記と、6月10日受付第○○号(代理人A)

   の所有権の移転の登記とは連件扱いとされたい。

 

※代理人A、代理人Bのいずれかの申請情報に上記内容が記録

 されていない場合は、事例②の申請について、登記識別情報

 の提供がされていないものとして取り扱う。

 

電子申請における不動産登記規則第67条に規定される登記識別情報の

提供の省略の可否について(回答)

(平成20年6月20日付法務省民二第1737号)より

除籍等が滅失等している場合の相続登記について(通達)

H28.3.11民二第219号通達

 

 相続による所有権の移転の登記(以下「相続登記」という。)の

申請において、相続を証する市町村長が職務上作成した情報

(不動産登記令(平成16年政令第379号)別表の22の項添付

情報欄)である除籍又は改製原戸籍(以下「除籍等」という。)の

一部が滅失等していることにより、その謄本を提供することができ

ないときは、戸籍及び残存する除籍等の謄本のほか、滅失等により

「除籍等の謄本を交付することができない」旨の市町村の証明書

及び「他に相続人はない」旨の相続人全員による証明書(印鑑証明

書添付)の提供を要する取扱いとされています(昭和44年3月3日

付け民事甲第373号当職回答参照)。

 しかしながら、上記回答が発出されてから50年近くが経過し、

「他に相続人はない」旨の相続人全員による証明書を提供すること

が困難な事案が増加していることなどに鑑み、本日以降は、戸籍

及び残存する除籍等の謄本に加え、除籍等(明治5年式戸籍(壬申

戸籍)を除く。)の滅失等により「除籍等の謄本を交付することが

できない」旨の市町村長の証明書が提供されていれば、相続登記を

して差し支えないものとしますので、この旨貴管下登記官に周知方

お取り計らい願います。

 なお、この通達に抵触する従前の取扱いは、この通達により変更

したものと了知願います。

 

 

 

つい先日こうした案件(他に相続人はない旨の証明書添付)が

あって、この規定なんとかならないものか、と感じていたが…

 

取扱いの変更、遅すぎた気もしますが、

とりあえずこれで相続の登記、やりやすくはなりましたね。

登記書類の保存期間の改正による実際の保存期間

平成20年7月22日不動産登記規則の一部改正施行により

規則28条の保存期間が変更

 

資料の種類    起算点   保管期間

土地       閉鎖時   50年

建物       閉鎖時   30年

申請書副本、

附属書類     受付日   30年

 

改正前は10年の保管期間

 

よって、平成9年までの受付の登記申請書及びその附属書類は、

改正前の保存期間(10年)の適用により、改正前(平成20年

より前)に破棄されている場合があり。

 

秋田地方法務局能代支局の場合は、平成8年までの書類は

保管していないとのこと。

 

実情は、申請書の附属書類等を30年保存しているわけではない。

登記情報の保存期間

(1)登記記録 永久

   土地の閉鎖登記記録 閉鎖した日から50年間

   建物の閉鎖登記記録 閉鎖した日から30年間

 

(2)地図等

   地図及び地図に準ずる図面(閉鎖含む) 永久

   建物所在図(閉鎖含む) 永久

 

(3)共同担保目録 すべての事項を抹消した日から10年間

   信託目録 信託の登記 抹消した日から20年間

 

(4)表示に関する登記の申請情報及びその添付情報

   …受付の日から30年間

   権利に関する登記の申請情報及びその添付情報

   …受付の日から30年間

   

   職権表示登記等事件簿に記録された情報

   …立件の日から5年間

   職権表示登記等書類つづり込み帳につづり込まれた書類に記載された情報

   …立件の日から30年間

 

(5)土地所在図、地積測量図、建物図面及び各階平面図 永久

   閉鎖したものにあっては閉鎖した日から30年間

 

   地役権図面 閉鎖した日から30年間

 

(6)筆界特定書に記載、記録された情報 永久

   筆界特定書以外の筆界特定手続記録に記載、記録された情報

   対象土地の所在地を管轄する登記所が規則233条の規定により

   筆界特定手続記録の送付を受けた年の翌年から30年間

 

(7)登記識別情報の失効の申出に関する情報

   当該申出の受付の日から10年間

役員に関する登記の申請書の添付書面に関する改正(H27.2.27施行)

 

役員に関する登記の申請書の添付書面に関する改正

株式会社

 

取締役、監査役又は執行役の就任を承諾したことを証する書面に関す

る改正(規則第61条第5項及び第103条第3項関係)

 

規則第61条第5項

設立の登記又は取締役、監査役若しくは執行役の就任(再任を除く。)

による変更の登記の申請書には、設立時取締役、設立時監査役、設立

時執行役、取締役、監査役又は執行役(以下この項において「取締役

等」という。)が就任を承諾したことを証する書面に記載した氏名

び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市区町村長その

他の公務員が職務上作成した証明書(当該取締役等が原本と相違が

ない旨を記載した謄本を含む。)を添付しなければならない。

ただし、登記の申請書に第二項(第三項において読み替えて適用され

る場合を含む。)又は前項の規定により当該取締役等の印鑑につき市

区町村長の作成した証明書を添付する場合は、この限りでない。

 

 

これにより、取締役及び監査役に新たに就任した者については、

その就任承諾書若しくは就任を承諾した旨の記載の

ある議事録においては、

就任者の氏名だけでなく、住所も記載しなければならない。

 +

その者についての本人確認証明書(住民票の写し等)の添付が必要

 

登記した日に住所移転したときは、住所変更登記か住所更正登記か

 

所有権の登記日(受付日)に住所移転した場合

 

(事例)

土地建物を買主が購入、平成27年8月31日売買による所有権移転、

登記受付日平成27年8月31日(買主の住所が旧住所)で、

買主が平成27年8月31日、購入した建物所在の住所に移転した。

 

この場合、登記された住所を新住所に直す手続きは、

変更登記によるべきか更正登記によるべきか?

 

 

変更登記によるとする見解と、

変更登記または更正登記のいずれでもよいとする見解とがある。

 

結論

 ↓

住所変更登記であれば、文句はあるまい…