附属建物と登録免許税(租税特別措置法72条関係)
1 租税特別措置法72条の適用について
平成9年9月1日 民三1553(民三1552) 通知(回答)
新築した居宅と新築後1年以上経過した附属建物についての表示の登記を行い、居宅の新築後1年以内に所有権保存の登記をする場合は、居宅についてのみ租税特別措置法72条が適用される。なお、既に租税特別措置法72条の適用を受けずに所有権保存の登記をしている場合は過納分について還付請求に応じられない。
〔租税特別措置法72条は、平成11年法律第8号により72条の2に改正されている〕
2 別棟の車庫等の保存登記に対する租税特別措置法72条の規定の適用
(登研447号)
○要旨 本屋と一体となって住宅の効用を果たす別棟の車庫、物置などの建物を本屋とともに1個の建物として所有権の保存登記をする場合には、別棟の車庫等も新築後1年以内の登記でなければ、租税特別措置法72条の規定の適用はない。
▽問 本屋と一体となって住宅の効用を果す別棟の車庫・物置などの建物の所有権の保存登記については、本屋の新築後1年以内に、本屋と車庫等とを1個の建物として所有権の保存登記をする場合に限り、租税特別措置法72条の規定の適用がありますが、この場合、これらの附属建物も新築後1年以内でなければならないと考えますが、いかがでしょうか。
◇答 貴見のとおりと考えます。
利益相反取引と不動産登記(その2)
登記申請時の利益相反取引に該当する場合の添付書面
→承認決議をした議事録
1、取締役会議事録の場合
出席した取締役、監査役は記名押印義務があるので、
代表取締役については法務局への届出印、それ以外の
者は市区町村への届出印を押印し、それぞれの印鑑証
明書を添付
2、株主総会議事録の場合
(定款で株主総会議事録の記名押印義務者を出席役員とする、
といった規定がなければ)原則、「議事録作成者」として
意思表示の主体となる代表取締役が記名押印し、その
押印した法務局への届出印につき印鑑証明書を添付
・承諾を証する情報の一部として添付する印鑑証明書
については、不登令17条及び18条に該当しないた
め、3か月以内発行のものという期限の制限はなし
・原本還付の取扱い
議事録は原本還付可能
印鑑証明書は原本還付不可
利益相反取引と不動産登記(その1)
1、不動産売買における買主・売主の関係
2、担保権設定における担保権者・担保提供者の関係
→(原則)自分の会社の取締役が取引相手の会社を代表して
契約を締結する場合には、議事録の添付必要。
………………………………………………………
[甲会社] 売買 [乙会社]
取締役B 取締役C
↓ ↓
議事録添付:要 議事録添付:要
………………………………………………………
[甲会社] 売買 [乙会社]
取締役A ⇔ 代表取締役A
代表取締役B 取締役C
↓ ↓
議事録添付:要 議事録添付:不要
………………………………………………………
3、担保権設定における債務者・担保提供者の関係
→(原則)利益を受ける債務者会社の代表取締役が、
不利益を受ける担保提供会社の取締役である場合は、
担保提供会社側の議事録添付を要する。
4、担保権の債務者の変更
(4-1)甲会社所有の不動産に設定された抵当権について、
債務者が甲会社から代表取締役個人に変更
→議事録添付不要
(4-2)甲会社所有の不動産に設定された確定前の根抵当権
について、債務者を甲会社から代表取締役個人に変更
→議事録添付必要
ことになり、甲会社にとって不利益にあたり、利益相反取引
に該当する。
役員全員の解任を内容とする登記申請があった場合の取扱いについて
役員全員の解任を内容とする登記申請があった場合の取扱いについて
(平成15年5月6日民商第1405号)
登記研究668号47ページ
会社・法人について、役員全員の解任を内容とする登記申請があった場合には、下記のとおり取り扱う。
登記申請の会社等と無関係の者が当該会社を乗っ取るために議事録等をねっ造してした虚偽の申請であるとして、紛争が生じる事案が発生しているため。
1.会社又は法人の役員全員の解任を内容とする変更登記の申請があった場合には、速やかに、当該会社又は法人に適宜の方法で連絡する。
(書面により連絡する場合には別紙様式)
2.解任されたとされる役員のうちのいずれかが申請書又は添付書類の閲覧を求めた場合には、届出印又は運転免許証の提示等の適宜の方法により、登記簿上の役員本人又はその代理人であることを確認した上、閲覧に応じて差し支えない。仮処分申請のため必要である等の事情が認められる場合には、適宜、申請書等の写しを交付することも差し支えない。
3.登記完了前に、解任されたとされる代表者から、当該申請に係る申請人が代表者の地位にないことを仮に定める内容の仮処分決定書等が提出された場合には、当該決定書等を本件登記申請の審査の資料とすることができる。
4.登記完了後に、解任されたとされる代表者から申請書にその者が代表者の地位にあること及び登記に係る代表者は代表者の地位にないことを仮に定める内容の仮処分決定書等を添付して(商業登記法(昭和38年法律第125号)第109条第2項、第107条第2項本文参照)、同法第109条第1項第2号の規定による当該登記の抹消の申請がされた場合には、他に却下事由がない限り、当該登記の抹消の登記をすることができる。
なお、取締役等の職務執行停止及び代行者選任の仮処分命令があった場合には、その旨の登記は、裁判所の嘱託によってすることとなる(民事保全法第56条)。
別紙
平成○○年○○月○○日
本店
商号
資格
氏名(解任された代表者) 様
○○(地方)法務局法人登記部門
役員全員の解任を内容とする登記の申請について(お知らせ)
今般、貴社(法人)について、下記のとおり役員全員の解任を内容とする登記の申請がありましたので、お知らせします。
なお、本お知らせに関するお問い合わせは、次の照会先までお願いします。
照会先 ○○市○○町○丁目○番○号
○○(地方)法務局法人登記部門
担当者 ○ ○
電話 ○○○-○○○-○○○
記
1 商号
2 本店
3 受付の年月日
4 新役員の資格、氏名及び住所(代表者一人のみ記載)
1の場合、法務局では登記申請のあった会社に通知してから
1週間程度保留期間(異議申立て等)を設ける。
よって、登記完了まで時間がかかることに注意!
登記申請の代理人が異なる場合の規則67条の規定の適用方法
電子申請における不動産登記規則第67条に規定される登記識別
情報の提供の省略の可否について
いわゆる連件申請によらない方法により、同一の不動産について
二以上の権利に関する登記の申請が電子申請によりされた場合
(同日付けで法務局に受け付けられたものに限る。)に、
下記のような内容の申請情報の提供がされたときは、
後件につき不動産登記規則第67条の規定を適用して、
登記識別情報が提供されたものとみなして差し支えない。
記
(事例)
① 平成20年6月10日申請
甲から乙への所有権の移転の登記(代理人A)
② 平成20年6月10日申請
乙を登記義務者とする抵当権の設定の登記(代理人B)
(申請情報の内容)
(1)事例①の申請情報の内容
本件の所有権の移転の登記と、6月10日付で後に申請される
抵当権の設定の登記(代理人B)とは連件扱いとされたい。
(2)事例②の申請情報の内容
本件の抵当権の設定の登記と、6月10日受付第○○号(代理人A)
の所有権の移転の登記とは連件扱いとされたい。
※代理人A、代理人Bのいずれかの申請情報に上記内容が記録
されていない場合は、事例②の申請について、登記識別情報
の提供がされていないものとして取り扱う。
電子申請における不動産登記規則第67条に規定される登記識別情報の
提供の省略の可否について(回答)
(平成20年6月20日付法務省民二第1737号)より