異順位の共同相続人の間で相続分の譲渡がされた後に遺産分割協議が行われた場合における所有権の移転の登記の可否について
異順位の共同相続人の間で相続分の譲渡がされた後に遺産分割協議が行われた場合における所有権の移転の登記の可否について(通知)
(平成30年3月16日付法務省民二第137号)
平成30年3月9日不登第52号(照会)
甲不動産の所有権の登記名義人Aが死亡し、その相続人B、C及びDによる遺産分割協議が未了のまま、更にDが死亡し、その相続人がE及びFであった場合において、B及びCがE及びFに対してそれぞれの相続分を譲渡した上で、EF間において遺産分割協議をし、Eが単独で甲不動産を取得することとしたとして、Eから、登記原因を証する情報(不動産登記令(平成16年政令第379号)第7条第1項第5号ロただし書、別表22の項添付情報欄)として、当該相続分の譲渡に係る相続分譲渡証明書及び当該遺産分割協議に係る遺産分割協議書を提供して、「平成何年何月何日(Aの死亡の日)D相続、平成何年何月何日(Dの死亡の日)相続」を登記原因として、甲不動産についてAからEへの所有権の移転の登記の申請があったときは、遺産の分割は相続開始の時にさかのぼってその効力を生じ(民法(明治29年法律第89号)第909条)、中間における相続が単独相続であったことになることから、他に却下事由が存在しない限り、当該申請に基づく登記をすることができると考えますが、いささか疑義がありますので照会します。
異順位の共同相続人の間で相続分の譲渡がされた後に遺産分割協議が行われた場合における所有権の移転の登記の可否について(回答)
不登第52号をもって照会のありました標記の件については、貴見のとおり取り扱われて差し支えありません。
条件
①中間相続人は1人
②相続分譲渡の譲受人は相続人以外の第三者ではないこと
③相続分譲渡の後に遺産分割協議がなされたこと
↓
異次順位の相続人間で相続分の譲渡がされた場合でも
共同相続登記がされていなければ
最終の遺産分割協議によって取得した相続人に直接相続登記が可能
〔この場合の遺産分割協議書例〕
被相続人亡Cの遺産につき、相続人F及び相続人Eは、次のとおり分割することに合意する。
1 相続人F及び相続人Eは、被相続人の相続人が自身ら2名と、下記の2名の計4名であったこと、下記の2名がそれぞれの相続分を相続人Fに譲渡したこと、
その結果、本件遺産分割の当事者が相続人F及び相続人Eの2名であることを確認する。
記
(1) 住所
氏名 G
(2) 住所
氏名 H
2 相続人Fは、次の遺産を取得する。
(以下略)