伊藤博之事務所の業務備忘録

業務に関連した専門情報に特化しています。主に登記の書式、先例、通達等。

内容はあくまで個人的な備忘録ですので、内容・言葉(文字)の正誤等において不正確・不鮮明な場合があります。 参考にする場合は自己責任でお願いします。 (出典等についてチェックしないまま記載している場合あり)

合筆・合併後の抵当権抹消の登記識別情報

〔合筆・合併後の抵当権抹消の登記識別情報〕

共同担保物件について土地の合筆又は建物の合併があった場合、

抵当権抹消登記で提供すべき登記識別情報は?

 

担保権の登記がある土地又は建物について合筆の登記又は建物の合併の登記がされた後、当該担保権の登記名義人を登記義務者として登記の申請をする場合に提供すべき登記識別情報は

 ↓

合筆の登記又は建物の合併の登記後に存する土地又は建物の登記記録に記録されている担保権の登記名義人についての登記識別情報で足りる

(平成19年10月15日付法務省民二第2205号 通知)

 

(事例)

抵当権付きの土地を分合筆、

1番1、2番1、3番1の受付年月日・受付番号が同一である共同担保の抵当権付きの土地を合筆

 ↓

1番1、1番5、1番6に分筆

 

1番6の土地に設定された抵当権を抹消する場合

提供する登記識別情報は1番1、2番1、3番1の土地に対する

抵当権設定時の登記識別情報か?

(合筆前の土地に設定された抵当権の登記識別情報全部必要?)

 

(結論)

1番1の土地に対する抵当権設定の登記識別情報で足りる

2番1、3番1の土地に対する抵当権設定の登記識別情報の

提供は不要

 

『抹消登記申請MEMO』青山修著 新日本法規 98P

(平成29年発行)

親会社、子会社の定義等の条文

条文が複雑なので…

 

 

親会社(会社法2条4号)

 株式会社を子会社とする会社その他の当該株式会社の経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。

会社法2条4号の「法務省令で定めるもの」

会社法施行規則3条2項)

法第2条第四号に規定する法務省令で定めるものは、会社等が同号に規定する株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配している場合における当該会社等とする。

 

 

子会社(会社法2条3号)

会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社がその経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。

会社法2条3号の「法務省令で定めるもの」

会社法施行規則3条1項)

法第2条第三号に規定する法務省令で定めるものは、同号に規定する会社が他の会社等の財務及び事業の方針の決定を支配している場合における当該他の会社等とする。

 

会社法施行規則3条1項及び2項の

「財務及び事業の方針の決定を支配している場合」

前二項に規定する「財務及び事業の方針の決定を支配している場合」とは、次に掲げる場合(財務上又は事業上の関係からみて他の会社等の財務又は事業の方針の決定を支配していないことが明らかであると認められる場合を除く。)をいう(以下この項において同じ。)。

一  他の会社等(次に掲げる会社等であって、有効な支配従属関係が存在しないと認められるものを除く。以下この項において同じ。)の議決権の総数に対する自己(その子会社及び子法人等(会社以外の会社等が他の会社等の財務及び事業の方針の決定を支配している場合における当該他の会社等をいう。)を含む。以下この項において同じ。)の計算において所有している議決権の数の割合が百分の五十を超えている場合
イ 民事再生法 (平成11年法律第225号)の規定による再生手続開始の決定を受けた会社等
ロ 会社更生法 (平成14年法律第154号)の規定による更生手続開始の決定を受けた株式会社
ハ 破産法 (平成16年法律第75号)の規定による破産手続開始の決定を受けた会社等
ニ その他イからハまでに掲げる会社等に準ずる会社等
二  他の会社等の議決権の総数に対する自己の計算において所有している議決権の数の割合が百分の四十以上である場合(前号に掲げる場合を除く。)であって、次に掲げるいずれかの要件に該当する場合
イ 他の会社等の議決権の総数に対する自己所有等議決権数(次に掲げる議決権の数の合計数をいう。次号において同じ。)の割合が百分の五十を超えていること。
(1) 自己の計算において所有している議決権
(2) 自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者が所有している議決権
(3) 自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者が所有している議決権
ロ 他の会社等の取締役会その他これに準ずる機関の構成員の総数に対する次に掲げる者(当該他の会社等の財務及び事業の方針の決定に関して影響を与えることができるものに限る。)の数の割合が百分の五十を超えていること。
(1) 自己の役員
(2) 自己の業務を執行する社員
(3) 自己の使用人
(4) (1)から(3)までに掲げる者であった者
ハ 自己が他の会社等の重要な財務及び事業の方針の決定を支配する契約等が存在すること。
ニ 他の会社等の資金調達額(貸借対照表の負債の部に計上されているものに限る。)の総額に対する自己が行う融資(債務の保証及び担保の提供を含む。ニにおいて同じ。)の額(自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係のある者が行う融資の額を含む。)の割合が百分の五十を超えていること。
ホ その他自己が他の会社等の財務及び事業の方針の決定を支配していることが推測される事実が存在すること。
三  他の会社等の議決権の総数に対する自己所有等議決権数の割合が百分の五十を超えている場合(自己の計算において議決権を所有していない場合を含み、前二号に掲げる場合を除く。)であって、前号ロからホまでに掲げるいずれかの要件に該当する場合

 

根抵当権の確定の登記 ※覚えておくこと

 

根抵当権の確定の登記

2通り

1.単独申請…根抵当権者が単独で申請する場合

2.共同申請…根抵当権者が登記義務者、設定者が

登記権利者となって申請する場合

 

1の単独申請できるケース

根抵当権者が元本の確定請求をした場合

民法398条の19第2項)

根抵当権者が抵当不動産に対する競売手続の開始

または滞納処分による差押えがあったことを知った

ときから2週間を経過した場合

民法398条の20第1項3号)

③債務者または根抵当権設定者が破産手続開始の決定

を受けた場合

(同4号)

ただし、②③の場合はこの確定した根抵当権について、

別に登記をする場合(例、代位弁済による根抵当権移転

登記、債権譲渡による根抵当権移転登記等)の登記の

申請とあわせてしなければならない

不動産登記法93条)

 

上記以外の場合は、共同申請となる不動産登記法60条)

 

③の場合の元本確定登記の添付情報

「債務者又は根抵当権設定者について破産手続開始の

決定があったことを証する情報」

(不動産登記令別表63項)

 

具体的には

「破産手続開始の決定書謄本」

 

債務者、設定者が法人の場合は

「破産の登記のある商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)」

でもよいのではないか(私見

 

信用保証協会等が受ける抵当権の設定登記等の税率の軽減(延長)

この内容は完全な備忘録!!!

うっかり忘れやすいので…

 

信用保証協会等が受ける抵当権の設定登記等の税率の軽減)
租税特別措置法第七十八条 
  租税特別措置法の一部を改正する法律(昭和四十八年法律第十六号。次項において「昭和四十八年改正法」という。)の施行の日の翌日から平成三十三年三月三十一日まで(注・令和5年3月31日まで)の間に信用保証協会が信用保証協会法(昭和二十八年法律第百九十六号)第二十条第一項各号に掲げる業務に係る債権を担保するために受ける抵当権(企業担保権を含む。次項において同じ。)の設定の登記又は登録については、その登記又は登録に係る登録免許税の税率は、登録免許税法第九条の規定にかかわらず、
千分の一・五とする。
 
2 昭和四十八年改正法の施行の日の翌日から平成三十三年三月三十一日までの間に次の各号に掲げる法人が当該各号に定める業務又は事業に係る債権を担保するために受ける抵当権の設定の登記又は登録については、その登記又は登録に係る登録免許税の税率は、登録免許税法第九条の規定にかかわらず、千分の一・五とする。
一 農業信用基金協会 農業信用保証保険法(昭和三十六年法律第二百四号)第八条第一項第一号に掲げる業務
二 独立行政法人農林漁業信用基金 独立行政法人農林漁業信用基金法(平成十四年法律第百二十八号)第十二条第一項第五号に掲げる業務(同法附則第二条の規定により当分の間行うこととされている林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法第六条第一項第三号に掲げる業務を含む。)
三 漁業信用基金協会 中小漁業融資保証法(昭和二十七年法律第三百四十六号)第四条第一項第一号に掲げる業務
四 清酒製造業等の安定に関する特別措置法(昭和四十五年法律第七十七号)第二条第三項に規定する中央会 同法第三条第一項第一号に掲げる事業

 

 

少額(10万円以下)の土地を相続により取得した場合の登録免許税の免税措置

平成30年度の税制改正により、

個人が、土地について相続による所有権の移転登記を

受ける場合において、

その土地が相続登記の促進を特に図る必要がある

一定の土地であり、かつ、

その土地の登録免許税の課税標準となる不動産の価額が

10万円以下であるときは、

その土地の相続による所有権の移転登記については、

登録免許税を課さない

こととされた

租税特別措置法第84条の2の3第2項)

 

免税期間

平成30年11月15日から令和3年3月31日まで

 

免税措置の適用を受けるには、免税の根拠となる

法令の条項を登記申請書に記載する

 ↓

租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」

一部の土地の場合

「一部の土地(○○市大字○○字○○34番地の土地)について租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」

 

共有持分の土地の場合

不動産の価額に共有持分を乗じて計算した額≦10万円

 ↓

適用あり(①の土地について)

 

~参考~
(相続に係る所有権の移転登記の免税)
第八十四条の二の三
2 個人が、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(平成30年法律第49号)の施行の日から平成33年3月31日までの間に、土地について相続による所有権の移転の登記を受ける場合において、当該土地が相続による土地の所有権の移転の登記の促進を特に図る必要があるものとして政令で定めるものであり、かつ、当該土地の当該登記に係る登録免許税法第10条第1項の課税標準たる不動産の価額が10万円以下であるときは、当該土地の相続による所有権の移転の登記については、登録免許税を課さない。

数次相続における1次相続登記(土地)の登録免許税の免税措置

平成30年度の税制改正により

土地につき数次相続が発生している場合で

死者名義とする1次相続登記については

登録免許税が免税となる

 

免税期間

平成30年4月1日から令和3年3月31日まで

 

免税措置の適用を受けるには、免税の根拠となる

法令の条項を登記申請書に記載する

 ↓

租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」

 

~参考~
(相続に係る所有権の移転登記の免税)
第八十四条の二の三 個人が相続(相続人に対する遺贈を含む。以下この条において同じ。)により土地の所有権を取得した場合において、当該個人が当該相続による当該土地の所有権の移転の登記を受ける前に死亡したときは、平成三十年四月一日から平成三十三年三月三十一日までの間に当該個人を当該土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税を課さない。

相続人からする登記の登記識別情報の通知

被相続人が登記名義人となる所有権の移転の登記を相続人が申請した場合の当該相続人に対する登記識別情報の通知について(通知)

(平成18年2月28日法務省民二第523号)

 

被相続人が登記名義人となる所有権の移転の登記を相続人が申請した場合の当該相続人に対する登記識別情報の通知について(照会)

標記について、被相続人名義への所有権の移転の登記が未了のまま被相続人が死亡したため、相続人から当該登記の申請がされた場合に、同登記が完了したときは、申請人である相続人に対し、登記識別情報を通知すべきものと考えますが、いささか疑義がありますので照会します。

 

被相続人が登記名義人となる所有権の移転の登記を相続人が申請した場合の当該相続人に対する登記識別情報の通知について(回答)

照会のあった標記の件については、貴見のとおりと考えます。