伊藤博之事務所の業務備忘録

業務に関連した専門情報に特化しています。主に登記の書式、先例、通達等。

内容はあくまで個人的な備忘録ですので、内容・言葉(文字)の正誤等において不正確・不鮮明な場合があります。 参考にする場合は自己責任でお願いします。 (出典等についてチェックしないまま記載している場合あり)

連帯債務者の一人の死亡に伴う抵当権変更登記(その2)

その2

相続人の1人が単独で抵当権付債務を引き受ける遺産分割協議をし、

それについて抵当権者(金融機関)が承諾した場合

 

ケース

不動産の所有権はA・B共有からAが死亡し、B単独所有へ

① 連帯債務者A・B→Aが死亡

② 連帯債務者Aの債務について共同相続人B・C・Dで遺産分割協議

 →連帯債務者B

③ ②につき抵当権者が承諾

 

目的 ○番抵当権変更

原因 成27年4月1日連帯債務者Aの相続

   ↑Aの死亡した日

変更後の事項

   連帯債務者 (住所)B

権利者(本店)株式会社X銀行(←抵当権者)

       代表取締役

義務者(住所)B

添付書類  登記原因証明情報 登記識別情報 代理権限証明情報

      資格証明情報

※印鑑証明書は添付不要(昭30.5.30民甲1123号回答)

 

共同相続人の1人が抵当権付債務を引き受けた場合において、

その引受けが遺産分割によるものであるときは、

共同相続人全員を債務者とする変更の登記をすることなく、

直接、共同相続人の1人を債務者とする変更の登記を申請

することができる

(昭33・5・10民甲964号通達)

 

連帯債務者の一人の死亡に伴う抵当権変更登記(その1)

その1

共同相続人全員が連帯債務を承継した後、共同相続人の1人が「債務引受契約」

によって他の相続人の債務を引き受ける場合

 

ケース

不動産の所有権はA・B共有からAが死亡し、B単独所有へ

① 連帯債務者A・B→Aが死亡

② 連帯債務者Aの相続→連帯債務者B・C・D

③ 連帯債務者C・の免責的債務引受→連帯債務者B

 

(1/2)

目的 ○番抵当権変更

原因 平成27年4月1日連帯債務者Aの相続

変更後の事項

   連帯債務者

   (住所)B

   (住所)C

   (住所)D

権利者(本店)株式会社X銀行(←抵当権者)

       代表取締役

義務者(住所)B

添付書類  登記原因証明情報 登記識別情報 代理権限証明情報

      資格証明情報

※印鑑証明書は添付不要(昭30.5.30民甲1123号回答)

 

(2/2)

目的 ○番抵当権変更

原因 平成27年5月1日連帯債務者C、Dの債務引受

   ↑債務引受契約が成立した日

変更後の事項

   連帯債務者 (住所)B

権利者(本店)株式会社X銀行(←抵当権者)

       代表取締役

義務者(住所)B

添付書類  登記原因証明情報 登記識別情報 代理権限証明情報

      資格証明情報

※印鑑証明書は添付不要(昭30.5.30民甲1123号回答)

  

募集株式が譲渡制限株式である場合の総数引受契約(H27.5.1~施行)

1 募集株式が譲渡制限株式である場合の総数引受契約に関する改正

  募集株式を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締

 結する場合において、当該募集株式が譲渡制限株式であるときは、株式

 会社は、株主総会の特別決議(取締役会設置会社にあっては、取締役会

 の決議)によって、当該契約の承認を受けなければならないとされた

 (法205条第2項、第309条第2項第5号)。ただし、定款に別段

 の定めがある場合には、当該定款の定めによることとされた

 (法第205条第2項ただし書)

 

2 総数引受契約により譲渡制限株式を発行した場合における募集株式の

 発行による変更の登記の申請書に添付すべき書面

  1の場合には、従前の添付書面のほか、株主総会の議事録取締役会

 設置会社にあっては、取締役会議事録)又は定款及び定款の定めに応じ

 た機関によって承認があったことを証する書面(商登法第46条第1項

 及び第2項に規定するものに限る。)を添付しなければならない(同条

 第1項、第2項、商登規第61条第1項)

 

会社 商号にローマ字等を用いることについて

平成14年の商業登記規則等の改正により,商号の登記について,それまでできなかったローマ字その他の符号を用いることができるようになりました。

 

 商号の登記に用いることができる符号
    (1)ローマ字(大文字及び小文字)
  (2)アラビヤ数字
  (3) 「&」(アンパサンド)
     「’」(アポストロフィー)
     「,」(コンマ)
     「-」(ハイフン)
     「.」(ピリオド)
     「・」(中点)
※(3)の符号は,字句(日本文字を含む。)を区切る際の符号として使用する場合に限り用いることができます。したがって,商号の先頭又は末尾に用いることはできません。ただし,「.」(ピリオド)については,その直前にローマ字を用いた場合に省略を表すものとして商号の末尾に用いることもできます。
※なお,ローマ字を用いて複数の単語を表記する場合に限り,当該単語の間を区切るために空白(スペース)を用いることもできます。

 

 ローマ字商号に関するQ&A
  Q1  ローマ字を使用した法人の名称を登記することができますか。
  A   商業登記規則第50条は,法人登記規則等において準用されますので,会社以外の法人の名称中にローマ字を用いたものも,そのまま登記することができます。
 例えば,特定非営利活動法人がその名称を「NPO法人○○○」として登記することも可能です。

  Q2  ローマ字と日本文字とを組み合わせた商号を登記することができますか。
  A  「ABC東日本株式会社」や「大阪XYZ株式会社」のように,日本文字とローマ字とを組合せた商号でも登記することができます。

  Q3  ローマ字のうち大文字又は小文字のどちらを商号に使用して登記することができますか。
  A  大文字,小文字のどちらも商号に使用して登記することができます。

  Q4  数字だけの商号を登記することは可能ですか。
  A  例えば,「777株式会社」という商号を登記することも可能です。

  Q5  ローマ字に振り仮名を付した商号を登記することは,可能ですか。
  A  現在,登記上,漢字の商号についても振り仮名を付しておらず,ローマ字商号であっても振り仮名を付して登記することはできません。

  Q6  「株式会社」を「K.K.」,「Company Incorporated」,「Co.,Inc.」,「Co.,Ltd.」に代えて登記することは,可能ですか。
  A  法令により商号中に使用が義務付けられている文字,例えば,会社の場合は,会社の種類に従い株式会社,合名会社等の文字を用いなければなりません(会社法第6条第2項)ので,これらを「K.K.」等に代えることはできません。

  Q7  英文の商号と日本文字による商号とを併記して登記すること(例「ABC Service Co.ltd. エイビーシーサービス株式会社」はできますか。また,ローマ字の読みを括弧書きで登記すること(例「ABC(エイビーシー)株式会社」)はできますか。
  A  いずれも登記することはできません。

 

3 既存の会社の商号の登記にローマ字を用いるための手続
 (1)改正省令の施行日(平成14年11月1日)前から,定款上,商号にローマ字を用いている場合
 従来から,定款で定める商号にローマ字を用いることは可能とされていたため,定款上は商号中にローマ字を用い,登記上はその部分がカタカナで表記されている会社があります。
 このような会社が登記上の商号にもローマ字を用いる場合には,商号の更正の登記の申請をすることにより,ローマ字を用いた商号に訂正することができます。
 (2)(1)以外の場合
 定款上の商号が日本文字で表記されている会社が,商号中にローマ字を使用したい場合には,会社の定款中商号の変更をした上で,商号の変更の登記を申請してください。

〈参考〉
○商業登記規則(昭和39年法務省令第23号)

 (商号の登記に用いる符号)

50条 商号を登記するには,ローマ字その他の符号で法務大臣の指定するものを用いることができる。
2 前項の指定は,告示してしなければならない。


法務省告示 商業登記規則(昭和39年法務省令第23号)第51条の2第1項(注)(他の省令において準用する場合を含む。)の規定に基づき,商号の登記に用いることができる符号を次のように定め,平成14年11月1日から施行する。
  平成14年7月31日            法務大臣 森 山 眞 弓
1 ローマ字
2 アラビヤ数字
3 アンパサンド,アポストロフィー,コンマ,ハイフン,ピリオド及び中点

注)現商業登記規則第50条

 

上記は法務省のホームページより http://www.moj.go.jp/MINJI/minji44.html

 

商号に空白(スペース)を用いることはできない

ただし、ローマ字を用いて複数の単語を表記する場合に限り、当該単語の間を区切るために使用可

『株式会社オフィス イトウ』 ←× 空白を用いること不可

『株式会社OFFICE ITO』 ←○ 空白を用いて区切ること可

抵当権 順位譲渡の登記事項の職権抹消

1番抵当権の2番抵当権への順位の譲渡の登記がされている場合において、

1番抵当権の登記を抹消する場合には、当該順位の譲渡の登記は、登記官の

職権により抹消される。

(登記研究384号P78、登記研究324号P75)

 

1番抵当権の2番抵当権への順位の譲渡の登記がされている場合において、

2番抵当権の登記を抹消する場合には、当該順位の譲渡の登記は、登記官の

職権により抹消される。

(登記記録例446・平21.2.20民二500号通達)

司法書士試験平21年午後問題、第16問肢3→正解)

 

 

抵当権間において順位譲渡がされている場合の抵当権の抹消

 順位1番・2番の抵当権間にて順位譲渡の登記がされている場合

1番抵当権の抹消登記をする場合については、

2番抵当権の登記名義人は、登記上利害の関係を有する第三者

該当する。

(昭37・8・1民甲2206号通達)

(新設)監査役の監査の範囲に関する登記(H27.5.1~施行)

監査役の監査の範囲に関する登記

監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の

定款の定めがある」

  ↓

会計限定監査役設置会社において登記が必要

 

経過措置

改正法施行の際に現に会計限定監査役設置会社である場合

改正法の施行後最初に監査役が就任し、または退任するまでの間は、

当該事項を登記することを要しない。

 

会計限定の定めの登記について検討しなければならない場合

① 改正法施行後に設立する会社で、定款に会計限定の定めがある場合

② 改正法施行前から現に定款に会計限定の定めがある場合

③ 改正法施行後に定款に会計限定の定めを新設する場合

 

登記すべき事項の記載例(②の場合)

「役員に関する事項」

監査役

「氏名」五城目トメ

「原因年月日」平成27年5月1日重任

「役員に関するその他の事項」監査役の監査の範囲を会計に関する

ものに限定する旨の定款の定めがある